「“人間・有原”が大事」 日ハム吉井コーチが褒めちぎった「エース」の成長
8回3失点の力投で9勝目、栗山監督も評価「スピードガンじゃなくて、ボールの強さ」
日本ハムの有原航平投手が30日、本拠地での西武戦で8回3失点(自責2)と好投して9勝目を挙げた。
2-3と1点を追う8回の攻撃、1死一、二塁となったところで有原がベンチ前に出てキャッチボールを始めた。ビハインドのままマウンドを譲るつもりはなかった。レアードの同点打、横尾の勝ち越し犠飛で逆転すると、力強く何度も手を叩く。「点が入ってくれと思っていたので、すごくうれしかったです」とお立ち台では笑みをこぼした。
エース候補に指名されて臨んだ今季、24試合目の登板で確かな成長を見せた。ロースコアの接戦が展開される中、不運な当たりで走者を許しても気持ちを切らすことなく、傷口を最小限にとどめた。
吉井理人投手コーチは、その粘り強い投球を高く評価した。「今季を象徴するような試合だったが、序盤か中盤のようにイライラして『あー! もう!』と吐き出すことがなくなった。成長している。エースとしてチームの信頼を得るには“人間・有原”が大事」。技術的にも精神的にもステップアップした背番号16を褒めちぎった。
打ち取った当たりが安打になっても有原自身、冷静だった。「みんな必死にやっている中でのプレーなので、次の1点を取られないようにと思っていました」と目の前の打者を打ち取ることだけに集中した。
シーズン終盤になって、直球に力強さが増している。「やっと有原らしくなった。(スピード)ガンじゃなくて、ボールの強さがね」と栗山英樹監督も期待通りの投球に頬を緩めた。「もちろん! 何とか考えます」と見えてきた2年連続2桁勝利へもう1試合先発チャンスを与える方向だ。
今季チームで唯一規定投球回をクリアしている有原は、首脳陣の期待の大きさを痛いほど理解している。「ここまで投げさせてもらっている。最後、勝って終わりたい。次に向けて調子します」。その表情は自信に満ちあふれていた。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)