阪神・高橋、白星ならずも「ほぼ完璧」 藪恵壹氏が指摘する成長への課題

阪神・高橋遥人【写真:荒川祐史】
阪神・高橋遥人【写真:荒川祐史】

左肩コンディション不良から復帰後、2戦連続で好投披露

■巨人 1-0 阪神(18日・東京ドーム)

 阪神は18日、敵地での巨人戦に0-1で敗れた。3年目左腕の高橋遥人投手が、巨人のエース・菅野智之投手と投手戦を演じたが、4回に岡本和真内野手に浴びたソロ弾が響いて黒星を喫した。7回を投げて2安打6奪三振3四球1失点。この日の投球について「ほぼ完璧でした」と称えるのが、阪神OBで元メジャーの藪恵壹氏だ。

「今日は前回同様、特に1打席目は打球がほとんど前に飛んでいない。ちょっと力が入っていたのは、2つフォアボールを与えた中島(宏之)選手のところだけでした」

 この日、好投のカギとなったのは「フォーク」だったと分析する。

「打たせてはいけない岡本選手、丸(佳浩)選手の打席ではフォークを連投していました。右バッターのインローにスライダー気味に入る球。あれが打者にとっては本当に邪魔になったと思うし、それが良かった。もったいないですね。十分勝てる内容だったのに、見殺しになってしまいました」

 高橋は4回、岡本の打席でカウント2-2からフォークをど真ん中に失投。軽々と左翼スタンドに運ばれてしまった。6回にも先頭・松原聖弥外野手に中前打を許したが、藪氏は「実質はあのホームランだけ」と話す。その理由とは……。

「6回の松原のヒットは不用意でした。三振、三振と来ての第3打席。初球にあんな真っ直ぐを投げるのはないでしょう。2打席三振に倒れていたら、3打席目は初球から振ってくると予測しておかないとダメ。イニング頭の打者だったので、コーチもマウンドに上がる前に『初球は絶対に打ってくるぞ』と注意喚起をしておくべき場面ですね。おそらく、高橋投手本人は分かっていないで投げたんだと思います。だからこそ、周りが手助けして、意識させてあげないと。あれは打って下さいと言ったようなヒットだったので、実質打たれたのはホームランだけですね」

 先発左腕が手薄な中で、ローテ定着への期待もかかる高橋だが、藪氏は今季開幕に間に合わなかった「コンディション不良」を懸念する。

「ローテで期待したい選手ですが、前回は復帰後まもないということもあって、登板後に登録抹消されました。実際に体がどれくらい痛んでしまう状況なのかは分かりませんが、登板後に抹消され、10日間投げられない状況が続いては、ローテ定着は厳しいでしょう。今回も一度抹消して10日間空けるのか、まずはそこに注目ですね。厳しいことを言うようですが、入団1年目のルーキーではなく、もう3年目。2軍でしっかり1年投げられる体力がついているべき投手です。体力面をどう改善するか。それがさらなる成長のカギになるでしょう」

 球界を代表する右腕・菅野と真っ向から投げ合った24歳左腕。投手としてレベルアップを図るためにも、体力とコンディショニングという基礎をしっかり固めたい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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