「どう乗り切るか」逆転V狙うDeNA、ラミレス監督が描くシナリオと最大のヤマ場

DeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】
DeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】

「ロペス、オースティンに戻ってきてほしい」

■DeNA 6-2 ヤクルト(28日・横浜)

 DeNAは28日、本拠地・横浜スタジアムでのヤクルト戦に6-2で勝利した。今季120試合中半分の60試合を消化し、故障や不振による戦線離脱者続出に見舞われながら30勝27敗3分けの“貯金3”。首位・巨人に4.5ゲーム差の2位につけている。コロナ禍で得意のCS(クライマックスシリーズ)が行われない今季、逆転優勝に向けたアレックス・ラミレス監督が描く勝算は…。

 同日に行われた、対ヤクルト3連戦の初戦に快勝した直後、主将で4番の佐野は早くも週明け9月1日からの対巨人3連戦を見据えていた。「今年はCSがないので(首位との)直接対決が重要」。DeNAは2017年にシーズン3位からCSを勝ち上がり日本シリーズへ進出するなど、短期決戦に強いイメージがある。だが、今季のセ・リーグはCSは開催されない。

 レギュラーシーズンで決着をつけるしかないのだが、DeNAでは8月に入ってから戦線離脱者が相次いでいる。メジャー通算33本塁打の大物で.320の高打率をマークしていたオースティンが守備中に右翼フェンスに激突し、5日に登録抹消。16日にはエースの今永が左肩違和感で、20日には一時防御率でリーグトップに立つなど好調だった平良が背中の違和感で登録抹消に。26日には来日8年目のロペスが打撃不振で2軍落ちとなった。

「ケガ人が何人か出ているが、他の選手が穴を埋める活躍をしている。全体的にみんな良くやっている」とラミレス監督は言う。先発投手陣では、これまで登板機会の少なかった新外国人ピープルズが、前回登坂の今月20日の広島戦で初勝利を挙げ、28日のヤクルト戦では6回2安打無失点の快投を演じ連勝を飾った。このまま先発ローテの柱の1人として回れれば、今後ますます貴重な存在になる。

 この日は5点リードの8回という余裕のある場面で、防御率6.00の不振にあえぐ山崎を登板させたが、2死から坂口、山田哲に連続長短打を浴び1回1失点。依然本来の調子には程遠いが、ラミレス監督は三嶋を代役の守護神として起用しながら、あの手この手で山崎の復調を促していく姿勢を示した。

 首位・巨人に追いつき追い越すためにポイントとなるのは、過酷日程の9月だ。1日から巨人3連戦をはじめ13連戦。さらに1日だけ休みを挟み、同15日から9連戦が組まれている。ラミレス監督は「そこをどう乗り切るか」と指摘し「ロペスには状態を上げてほしいし、オースティンにも戻ってきてほしい。高いレベルで競うには、これらの要素が必要だ」と強調した。

 苦肉の策で抜擢した選手が成長し、そこへ戦線離脱者が戻ってくれば、結果的にチーム力アップにつながる。苦境の中でも、ラミレス監督は逆転Vのシナリオを紡いでいる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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