田中将大、WS進出王手に導く快投 敵将脱帽、天敵を沈黙させた“変化”とは
大一番で苦手アストロズ相手に7回零封「彼はゲームプランを変えてきた」
ヤンキース田中将大投手は18日(日本時間19日)、本拠地で行われたアストロズとのリーグ優勝決定シリーズ第5戦で7回3安打1四球8奪三振無失点と快投し、5-0の勝利に大きく貢献した。2勝2敗のタイで迎えた一戦で、ワールドシリーズ(WS)進出王手に導く大仕事。敵将のA・J・ヒンチ監督は、田中が見せたシリーズ初戦とのある違いに白旗を上げている。
本拠地で2連勝を飾り、リードしていたはずのアストロズが窮地に立たされた。敵地ヤンキースタジアムでよもやの3連敗。キャリアを通じてヤンキースを完璧に封じ込めてきたエースのカイケルを第1戦に続いて送り出したが、無双ムードの田中相手に7回無得点と打線が沈黙させられたことは何よりも痛恨だった。
ヒンチ監督は試合後の記者会見で「TANAKA」を自ら称え始めた。
「タナカは今夜良かったよ。第1戦も良かったと思う。彼はゲームプランを変えてきた。今日はスプリットの数、そして、ファストボールで仕留めてくる回数を増やしてきた。彼にとっては珍しいことだ。彼は打席の終盤ではいつも変化球を使ってくるからね」
敵将は、前回対戦よりもスプリットの数を増やす一方、決め球として威力十分のファストボールで勝負してきた田中の組み立てに驚きを隠せない様子だった。田中といえば、打者を2ストライクに追い込むと、宝刀スプリットとスライダーを低めに決めて仕留めるスタイル。だが、従来とは異なる戦略に、アストロズ打線は成す術がなかった。田中は、5回1死一、二塁のピンチでは糸をひくような外角低めへの94マイル(約151キロ)の直球で強打者スプリンガーを見逃し三振に仕留める場面もあった。
「我々は十分な修正が可能なほどゲームプランを維持することができていない。タナカ相手に無闇に引っ張ろうとするバッティングは我々の痛手になった」
アストロズ自慢の強打を沈黙させた田中の圧巻のピッチング。その裏に存在する巧みな戦術変更にしてやられたヒンチ監督は痛恨の様子だった。
(Full-Count編集部)