優勝請負人の面目躍如、バーランダーMVPの活躍でWSへ「決断は正しかった」
タイガース時代に2度WS進出も涙、自身3度目の正直なるか
アストロズは21日(日本時間22日)、本拠地で行われたリーグ優勝決定シリーズ第7戦でヤンキースを4-0で下し、2005年以来2度目となるリーグ優勝を果たした。シリーズMVPに輝いたのは、第2戦で完投、敗退危機の第6戦は7回零封で2勝を挙げ、チームを優勝に牽引したジャスティン・バーランダー投手だった。ア・リーグ優勝決定シリーズMVPを投手が受賞するのは、最近5年では上原浩治(2013年)、アンドリュー・ミラー(2016年)に続く3人目の快挙となった。
「このチームに来るという決断は正しかったよ」
MVPトロフィーを持って会見場に現れたバーランダーは、しっかりとした口調で言い切った。2004年ドラフト1巡目(全体2位)で入団したタイガース一筋で13年目を迎えた今季。低迷するタイガースの中で奮闘するベテラン右腕に、アストロズへトレード移籍の話が舞い込んできた。2006年と2012年にワールドシリーズ進出を果たしながら頂点には届かず。悲願の世界を実現させるため、トレード拒否権を破棄して、8月31日に新チームへ移籍した。
請われてやってきたとは言え、同じチームで12年を過ごした後、新チームに移籍することは簡単ではない。それでもサイ・ヤング賞とMVPの同時受賞経験を持ち、通算183勝に達していたベテラン右腕を「オーナーからチームメイト、チーム職員1人1人がすぐに両手を差し出して温かく迎え入れてくれた」という。移籍からまだ50日余りしか経たないが「チーム全員と特別な絆が生まれたんだ」と笑顔を浮かべる。
チームは101勝61敗の好成績で地区優勝。レッドソックスと戦った地区シリーズを3勝1敗で勝ち抜き、ヤンキースとのリーグ優勝決定シリーズにコマを進めた。第2戦で先発したバーランダーは、9回を124球で完投勝利。チームは2連勝で敵地へ乗り込んだが、3連敗で敗退危機を迎えた。負ければ終わりという大一番の第6戦。再び先発マウンドに上がった右腕は、7回無失点でヤンキースを封じ、第7戦に望みをつないだ。そして、手に入れたリーグ優勝。「昨日(第6戦)はキャリア屈指の瞬間だった。遠征から本拠地に戻り、7回零封に抑えて勝利投手になる。後のない試合でこういったパフォーマンスをすることは、子供の頃から夢見る瞬間だった」としみじみ話した。
24日(同25日)から始まる自身3度目のワールドシリーズで悲願の世界一を目指す。トレード移籍からここまであっという間に駆け抜けた感が強いが「正直まだ実感が沸かない」と苦笑い。あと4勝。ワールドシリーズ優勝の夢を叶えた時、ジェットコースターのように目まぐるしい日々が現実のものに感じられるのかもしれない。
(Full-Count編集部)