開幕好調だった楽天はなぜ夏場に失速? “酷使”のしわ寄せデータで明らかに
中継ぎ疲弊? 1試合あたりの投手起用数はリーグ最多「4.67」
大型補強を敢行して今季に臨んだ楽天は、開幕から首位争いに絡むも8月下旬から失速。ソフトバンク、ロッテの上位2チームに水を開けられ、現在は勝率5割ラインに留まっている。そんな前半戦の戦いを、得点と失点の「移動平均」から検証する。(数字、成績は9月22日現在)
「移動平均」とは、大きく変動する時系列データの大まかな傾向を読み取るための統計指標。グラフでは、9試合ごとの得点と失点の移動平均の推移を折れ線で示し、「得点>失点」の期間はレッドゾーン、「失点>得点」の期間はブルーゾーンで表している。
開幕直後の無観客開催だった20試合の大きなレッドゾーンがとにかく目を引く。主砲の浅村栄斗に加え、新加入の鈴木大地、ロメロが攻撃の核となり、打率.300、OPS.839、平均6.44得点。打線が活発なことに加え、防御率も3.06であることが大きな要因になっている。
特に救援防御率が1.23と鉄壁。新加入の牧田和久、JT・シャギワ、酒居知史、津留崎大成、さらにはブセニッツ、辛島航、安樂智大の救援陣がすべて防御率1点台を記録。今季からクローザーに指名された森原康平は6試合で防御率0.00とパーフェクトなリリーフ陣を締める存在となった。
また先発投手陣は、則本昴大、岸孝之、松井裕樹、塩見貴洋、弓削隼人に、ロッテから移籍の涌井秀章が加わり、ローテーションが充実。その涌井は開幕から8連勝を記録、9月24日現在で14試合の先発で11試合でクオリティスタート(6回以上、自責点3以下)を達成するなど安定のピッチングで先発投手陣の軸となった。
7月20日に岸が登録抹消されると、ローテーションの谷間がなかなか埋まらず、大きな連勝はできないものの、高い得点力でカバーしながら首位争いに食らいついていた。しかし、8月に入って先発投手陣が早い回で降板する試合が増加し、それにつれて救援投手陣の稼働率も高くなっていった。楽天の1試合あたりの投手起用数は4.67でリーグ最多である。
【平均投手起用数】
楽天 4.67
西武 4.34
ソフトバンク 4.28
オリックス 4.25
日本ハム 4.24
ロッテ 3.91
そのためか、救援陣が大事な場面で踏ん張れず試合を落とすことも目立つようになった。8月22日以降は11勝16勝と波に乗れずにいる。