【林昌範の目】ロッテに漂う逆転Vの可能性 過密日程見越した“先見の明”とは?
ソフトバンクに大きく勝ち越し 力の優劣だけでは測れない「相性」
ペナントレースもいよいよ勝負の10月に入りました。セ・リーグは巨人が首位独走でマジック点灯と圧倒的な強さを見せていますが、パ・リーグはソフトバンク、ロッテが熾烈な首位争いを繰り広げています。3位の楽天も大型連勝をする力を持っているので、まだまだ目が離せません。
個人的にはロッテの戦いぶりに非常に興味があります。9月25日からのソフトバンク戦(ZOZOマリン)に勝ち越して1ゲーム差に接近。ソフトバンク戦との直接対決は10勝4敗1分と大きく勝ち越しています。力の優劣だけでは測れない「相性」というのが勝負の世界では存在します。昨年も17勝8敗とソフトバンクには大きく勝ち越していることから、ロッテの選手たちは精神的に優位に戦えているように思えます。
ロッテの強みは特定の選手に依存していないことです。荻野貴司外野手、福田秀平外野手、田村龍弘捕手、フランク・ハーマン投手と次々に戦線離脱しましたが、菅野剛士外野手、加藤翔平外野手、和田康士朗外野手、柿沼友哉捕手、新人の佐藤都志也捕手、トレードで巨人に加入した澤村拓一投手など抜擢された選手がきっちりカバーしています。
そして、7月23日に右大腿二頭筋の損傷で登録抹消された荻野選手が2か月ぶりに復帰しました。出塁率が高く、足も使えるので攻撃の選択肢が増えます。福田選手も復帰し、調子を上げてきました。両選手は今後の戦いを占う上でキーマンになると思います。
井口監督、球団フロントは開幕当初からシーズン終盤を見据えて戦っているような気がします。澤村投手をトレードで緊急補強したのはもちろんですが、今年の過密日程の中で3連投した投手がいないというのは特筆すべきことだと思います。セットアッパーの唐川侑己投手、守護神の益田直也投手を投入したくなる試合展開もあったと思いますが、投手のコンディションを重視し、決して無理をさせません。アクセルを踏みながらブレーキも忘れない戦い方で白星を重ねてきた戦いぶりはなかなかできることではありません。
今月21日には元中日のチェン・ウェイン投手の獲得を発表しました。中日時代は左腕から繰り出される剛速球で打者をねじ伏せていた姿を鮮明に覚えています。35歳とベテランになり、投球スタイルは若い時と変化しているかもしれませんが、日本野球を熟知し、経験豊富な投手なので大きなプラスアルファになるのではないでしょうか。投打共に戦力では2年連続日本一のソフトバンクが上かもしれませんが、余力を蓄えた試合巧者のロッテが逆転優勝する可能性は十分にあると思います。
文/構成 インプレッション・平尾類