BC埼玉武蔵・田澤、NPB入りは「指名されたら考えたい」今季最終登板は無失点

BC埼玉武蔵・田澤純一【写真:佐藤直子】
BC埼玉武蔵・田澤純一【写真:佐藤直子】

1回を無失点で今季締め「また来年に向けてしっかり準備をしたいです」

 ルートインBCリーグ埼玉武蔵の田澤純一投手が14日、埼玉・上尾市民球場で行われた今季最終戦に登板し、1イニングを力強く無失点で締めた。指名を受ける可能性のある26日のドラフト会議については「指名されたら考えたいと思います」と話した。

 1-2の5回、2番手としてマウンドに上がると、先頭・東を力強い速球で遊飛に仕留め、続く牧田も右飛とした。2死から奈良に一二塁間を破る右前打を許したが、最後は鴨志田を空振り三振。無失点で2020年シーズンを締めくくった。

 今春、米アリゾナ州でレッズ傘下マイナー選手としてキャンプインしたが、3月に契約解除。コロナ禍もあり、日本に帰国して練習していたが、7月13日に埼玉武蔵と契約を結んだ。以来、ボールやマウンドの違いに試行錯誤しながらも16試合に登板し、防御率4.00の成績を残した。

 2008年、新日本石油ENEOS(現ENEOS)のエースとして都市対抗野球などで活躍した田澤は、NPB球団から注目を浴びていたが、記者会見を開いてメジャーを目指す決意を表明。ドラフト上位候補選手がドラフト指名を見送るよう求めることは異例の出来事で、この後、NPBは日本球界を経ずに海外プロリーグと契約した選手にペナルティを科すルールを申し合わせた。

 自分の心に従った田澤は2009年にレッドソックスと契約を結び、マイナーから積み上げながら成長。2013年にはセットアッパーとしてワールドシリーズ制覇に貢献するなど、十分な実績を積んだ。その田澤が12年ぶりに日本へ戻ってきたことを受け、NPBは申し合わせの撤廃を決定。34歳右腕は、10月26日に行われるドラフト会議で指名を受ける可能性がある。

 かねてより「求められる場所があれば前向きに考えたい」と話し、オファーがあれば国内外を問わず、前向きに検討するつもりだ。試合後、田澤は複数のNPB球団から届いた調査書にサインしたことを明かしたが、「まだ指名されていないので分からないですけど、指名されたらいろいろな人と相談しながら決めたいと思います」と話すにとどまった。

 BCリーグでは、速球はコンスタントに球速150キロ超を計測。スライダー、スプリットのキレもよく、自身も「年を取れば球速も遅くなってくるのかなと思っていたんですけど、しっかり練習してきた結果で、また球がよくなってきたと思う」と頷く。即戦力として計算できる救援投手ではあるが、来年で35歳。メジャーで積み重ねた経験をどう見るか、球団によって評価は分かれるところだろう。

 ドラフトで指名されない可能性もあるが、田澤の気持ちは変わらない。「また来年に向けてしっかり準備をしたいです」。自分の心に従って、シーズン終了後もトレーニングを続けていく。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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