西武が高橋朋引退発表の日に奇跡のサヨナラ勝ち 辻監督「昨年もミラクル起きた」
お立ち台の山野辺「まさか落ちるとは。半分守備に行こうかと」
■西武 2-1 ロッテ(20日・メットライフ)
西武は元守護神の高橋朋己投手が今季限りでの現役引退を表明した20日、本拠地メットライフドームでロッテを相手に奇跡的なサヨナラ勝ちを収めた。1-1の同点で迎えた9回2死二塁で、プロ2年目・26歳の山野辺が打ち上げた飛球を、ロッテの二塁手・西巻と右翼手・マーティンが交錯し落球。勝利が転がり込み、楽天と並び3位に浮上した。
高橋朋と同期入団で8年目の金子が、両軍無得点で迎えた7回1死二、三塁で先制犠飛。8回は高橋朋にかわいがられ、登場曲「Follow Me」を引き継いでいる平良が3人で片付ける好救援。このまま、同期入団&同い年の守護神・増田が9回を締めれば完璧だったが、そこまでうまくはいかなかった。2死一、二塁から田村に中前適時打を浴び、追いつかれていた。
サヨナラの場面は、ベンチには山川ら強力な代打陣も控えていたが、辻発彦監督はあえて、「9番・二塁」で先発させ、7回にヒットエンドランを決めて(右前打)先制点につなげていた山野辺に託した。辻監督は「結果を出している選手は使いますよ。何かを起こしてくれると期待していました」とご満悦。
また指揮官は、昨季と今季は左肩痛で育成契約だった高橋朋について「それでも、朋己の存在がファンに浸透していることを、平良の登場曲を聞くたびに感じていた。これからは平良が受け継いで投げていってくれると思う」と感慨深げに語った。
一方、山野辺はプロ入り後初のお立ち台で「いい所に打てたのかなと思います」とスタンドの笑いを誘い、「まさか落ちるとは思わなかったので、半分守備に行こうと思っていました。ついてると思います」と本音を口にした。「僕にとって高橋朋己さんは、テレビで見ていた方ですが、なんとか勝ててよかった」と語った。
「昨年も、木村の打球に外野手同士がぶつかってから、ミラクルが起こった記憶がある。運にも味方していただいて、明日も勝利できるように頑張りたい」と付け加えたのは辻監督。今季残り18試合で、クライマックスシリーズ進出圏の2位ロッテに5ゲーム差。本当の奇跡はこれからか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)