西武・辻監督「素晴らしい投球」 7回途中まで無安打の榎田を称賛

先発した西武・榎田大樹【写真:宮脇広久】
先発した西武・榎田大樹【写真:宮脇広久】

前回登板で大炎上KOも、425日ぶり白星奪取

■西武 4-0 日本ハム(2日・メットライフ)

 パ・リーグ3位の西武は2日、本拠地メットライフドームで日本ハムに4-0で零封勝ちし、2位ロッテに1ゲーム差に迫った。先発の榎田大樹投手が7回1死まで無安打2四死球に抑える快投で、昨年9月4日のオリックス戦以来、425日ぶりに勝利投手となった。

 西武はこの試合前まで日本ハムを7勝14敗と大の苦手にしていた。もはや1試合も落としたくないとあって、作戦も手堅かった。初回、相手の今季初先発の生田目に対し、敵失と投手強襲安打で無死一、二塁とすると、辻発彦監督は3番・外崎に送りバントを命じた。これが決まると、続く4番・栗山がすかさず左前へ先制2点適時打。指揮官は「こういう争いの中で先制点は本当に大きい。日本ハムさんには今季、先制点を取られて追いかける展開が多かっただけにね」と頷いた。

 5回にはメヒアが左前打に運び、敵失が絡んで二塁まで進むと、辻監督は早くも代走・呉念庭を送った。続く木村にはまたもや送りバント。木村は初球を空振りし、飛び出した呉がタッチアウト。ただ、直後に木村は左翼席に8号ソロ。辻監督は「代走に送った呉は、木村はバントがうまいからと油断したのかもしれないが、あんな所で飛び出すようでは……。木村が気持ちを入れ替えてよく打った」と呉には反省を求め、打ち直して値千金の一発を放った木村を称えた。

“うれしい誤算”は先発の榎田だ。1軍での前回登板は8月26日の同じ日本ハム戦で、3回途中7失点の大炎上KOを喫していた。不安いっぱいの先発だったが、ふたを開けてみれば、3点リードの7回1死まで無安打投球。2回先頭の中田に死球をぶつけるも、続く大田を遊ゴロ併殺。4回1死から杉谷に四球を与えても、続く西川を投ゴロ併殺に仕留め、7回1死まできっちり打者19人で済ませていた。

 杉谷に右越え二塁打を浴びて、ノーヒットノーランは夢と消えた。続く西川にも四球を与え、一発同点の状況で中田を迎えると辻監督は森脇にスイッチ。「榎田には、久々に素晴らしい投球をしていただいた」と、なぜか敬語で称賛し「ウチには今、力強いリリーバーがいるので、いける所までと思っていた。もちろん、ノーヒットでいくのなら、どこまででも」と明かした。

 森脇は中田をフォークで空振り三振に仕留め、大田は四球で歩かせたものの、渡邉を三ゴロに打ち取って、勝利を引き寄せた。後れ馳せながら今季初白星の榎田は、お立ち台で「ここまで、ふがいない投球が続いていたし、チームも負けられない状況なので、今日こそは勝ちたかった。ノーヒットノーランを気にしている場合ではなく、必死だった」と胸をなでおろし、「でも、初ヒットを打たれて、スタンドから『あー』というため息が起こった時は、申し訳ないと思いました」と笑わせた。

 昨日までの成績は関係ない。1日1日チーム一丸、負けられない戦いが続く。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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