葛藤を越えた熱いラブコール、FA鶴岡が古巣・日ハム復帰に「すごく前向き」
栗山監督との“師弟コンビ”復活も心待ちに
ソフトバンクからフリーエージェント(FA)権を行使した鶴岡慎也捕手が3日、札幌市内のホテルで日本ハムと交渉を行った。4年ぶりの古巣復帰へ支障はなく、近日中にも合意に至る見込みだ。
古巣からのまさかのオファーに、鶴岡の心は動いた。日本ハムが他球団のFA選手の獲得交渉に乗り出すのは、05年の稲葉篤紀SCO(ヤクルトからFA)以来となる。
「ファイターズという球団は、僕がいる時からFA選手は獲らないという球団でしたので、そのチームからオファーをいただいたのは、びっくりしました。古巣から評価されてオファーをいただいたことは、すごくありがたいです」と感謝の言葉を口にした。
出場機会を求めてのFA宣言だった。国内FA権を取得した13年オフに、日本ハムからソフトバンクに移籍。4年契約4年目の今季は、甲斐の台頭もあり、29試合出場にとどまった。
「ベテランと言われる年になって、果たしてオファーは来るのか。来なかったらどうしようか。そういう気持ちはもちろんありましたけど、どういう状況になっても後悔しないようにと覚悟を決めてFAしました」。不安な気持ちも抱きながらトレーニングをしていた時に、待望のオファーが舞い込んだ。
日本ハムで4度のリーグ優勝に貢献し、選手会長も務めた功労者だ。複数年契約を含めた条件提示を行った球団の島田利正代表は「もう一度日本一を取るためにこれまでの経験を生かしてほしい」と熱く訴えた。さらに、出戻りで居心地の悪さを感じている様子の鶴岡に「我々が戻ってきてほしいと思っているわけだし、多分チームも、選手たちも思っている。何よりもファンの方たちにも喜んでいただける」と伝えて口説いた。
古巣からの熱いラブコールに、鶴岡自身が抱えていた心のわだかまりも次第に解けていった。
「自分からファイターズと北海道を飛び出したのに、どんな顔をして帰ればいいのかと思っていました。でも、今日こうやって交渉の場を持っていただいて、ありがたい条件を提示していただき、今はすごく前向きな気持でいます」と笑顔を見せた。
栗山監督とすでに話をしたのかと質問されると、はやる気持ち抑えるように答えた。「栗山監督がいたから、僕がこの年までまだ野球ができて、またファイターズからオファーをいただく立場になれたと思っているので、1日でも早くお話がしたいです」と師弟コンビ復活を心待ちにしている様子だ。
日本ハムの後輩たちからも連絡をもらっており、心は大きく傾いている。日本ハムの若手投手陣について質問が及ぶと「少しでもステップアップの手助けができればいいと思いますね」と話すなど、早くも復帰後のイメージをふくらませていた。
細かい条件面はこれから詰めるというが、入団に支障はない。結論の時期について「近々で」と話しており、正式決定は時間の問題だ。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)