巨人痛恨…丸の併殺打にあった“伏線”とは? 専門家が解説する千賀の「強烈な1球」

巨人・丸佳浩(左)とソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】
巨人・丸佳浩(左)とソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】

2点を追う4回、無死一、二塁で巨人はチャンスを逸する

 21日に京セラドームで行われた「SMBC日本シリーズ2020」第1戦はソフトバンクが5-1で先勝した。巨人は8回まで無得点とソフトバンク投手陣に封じられたが、得点チャンスはあった。特に2点を追う4回無死一、二塁。丸の遊撃併殺打は巨人にとって痛かった。ロッテや巨人などで活躍した元投手、小林雅英氏は「この試合の中で一番、強烈な一球が丸の打席にあった」とその“伏線”を解説した。

 丸がソフトバンク先発の千賀に併殺に仕留められたのは第2打席だった。4回、その前を打つ坂本と岡本が連続で四球を選んだ。5番の丸も変化球を2球、見極めて、2ボール。そして迎えた3球目。外角低めの直球に手を出し、遊ゴロ併殺となった。

「あの打席はストレートの一点張りでした。ただ、見逃せばボール球で難しいコースでもあった。丸の頭の中に千賀の直球を攻略しないといけないという思いがあったのだと思います」

 小林氏は前の打席で、丸の見逃し三振が気になっていた。2回1死、1ボール2ストライクから2球続いたフォークをしっかりと見極めた。そして、フルカウントになった6球目だった。千賀の内角低めのコースギリギリ、159キロのストレートに手が出なかったのだ。

 だからこそ、第2打席ではストレートへの意識がより濃くなっていたと小林氏は分析する。

「(三振した球は)強烈な一球と言えるストレートでした。この試合の中で千賀の一番のボールだったと思います。だから、丸の頭の中にはこのストレートが(次の打席でも)あったはずです」

 もしも、フォークに手を出し、空振り三振になっていれば、ストレートへの意識は少なかったかもしれない。丸は昨年のソフトバンクとの日本シリーズで13打数1安打とブレーキ。広島時代からリーグ5連覇をしているが、日本一は一度もないため、「日本一には飢えている」と心境を表現したほど責任を感じていた。このシリーズにかける意気込みは相当なものだ。

 チャンスで迎えた第2打席ではチームに勢いを与える一打を求め、積極的に行った。変化球が2球続き、それもボールになり、直球が高い確率が来る状況を作り出した。狙い通りに真っ直ぐが来たため、スイングに行ったのだが……。

「冷静さを欠いてしまうのが短期決戦でもあります。あの千賀のストレートを攻略しようとした丸の気持ちが出ていましたが、手を出すには難しすぎるボール。ストレートが来たから、“よし”と思って振っていってしまった」

 結局、巨人は9回にソフトバンクの守護神・森から1点を奪うのが精一杯だった。丸はその1点に繋がる右前安打を放った。次戦以降、勝利に結びつく安打が求められる。

(Full-Count編集部)

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