改めて評価したい2013年プレイバック 次世代の鉄腕へ ヤクルト・山本哲哉投手
自己最多の64登板、25ホールドを記録した山本
見事な火消しだった。3年目、社会人の三菱重工神戸から入った山本哲哉(28)は4月26日からの巨人3連戦(神宮球場)で3試合連続セーブを挙げた。無我夢中という言葉がぴったりの投球で今年も投げ続けた。新人の石山泰稚との配置転換でその後は主に中継ぎとなったが、自己最多の64試合に登板し、25ホールド。最下位のチームながら、新人王のライアン・小川らとともに、光る活躍を見せた。
12月19日には契約更改をして、2000万円以上もアップし、年俸は5000万円を超えた。2年連続で50試合登板を果たした鉄腕ぶりが評価されてのことだった。「今年は一度もファームに落ちることなく一軍にいれた。オールスターにも出て、抑えも経験できました」と1年を振り返った。なかなか連続で50試合登板を超えることは難しいが、3年連続となれば、首脳陣からの信頼は厚くなるだろう。勝利の方程式、不動のセットアッパーという肩書きが山本には定着していきそうだ。
山本の凄さは、相手の4番打者に打たれないことだ。ボールに気迫が乗り移っている。巨人の阿部慎之助には5打数ノーヒット、村田修一には2打数ノーヒットと1本のヒットも許さなかった。対戦数は少ないが中日・ルナは1打数無安打、阪神・マートンには2打数無安打。横浜DeNAのブランコも4打数無安打。広島のキラは3打数無安打。同じく広島のエルドレッドには1本、安打を許しているが、それでも、これだけ4番経験者を封じられる精神力はなかなか簡単には手に入らない。相手の軸を抑えて打線を分断できるのが、彼の強みである。
今年の登板でも度胸の据わった投球を見せており、フル回転の活躍は見事だった。来年からは副選手会長に就任するなど、チーム内での責任、地位も高まってきている。背中で引っ張っていくことになる山本に来年も注目したい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count