独自のメジャー挑戦で世界一 田澤純一の成長を支えたもの
『ピンチでは田澤』が今季レッドソックスの合言葉
1年を通してブルペンを支え続けた男は、間違いなくワールドシリーズ制覇の立役者の1人だった。アマチュア野球から、日本プロ野球を経由せずにメジャーリーグへ――。レッドソックスのセットアッパー・田澤純一(27)が2008年に下した決断は結果的に正解となり、世界最高峰の舞台への近道となった。
ただ、その成功は自身の力だけではつかみ取れなかったであろうことは、本人も理解している。その成長を支えたものとは何だったのか。
3勝2敗で迎えたカージナルスとのワールドシリーズ第6戦。世界一を決める試合で、日本プロ野球では“実績ゼロ”の右腕がマウンドに上がった。6-1の7回。2アウト満塁の大ピンチで名前がコールされた。
「ピンチでは田澤」。これが今季のレッドソックスの合言葉だ。
そして、男はその期待にきっちりと応えた。わずか2球で4番のアレン・クレイグをファーストゴロに仕留め、危機を脱出。チームを勝利に導く快投で本拠地フェンウェイ・パークの大歓声を浴びた。
「正直、緊張してあまり覚えてないですけど、抑えられて良かった。使ってくれた監督に感謝しています」。そう笑みをこぼした。