マー君の決断は? 移籍先の有力候補とされる5球団の特徴を探る
先発投手の補強が不可欠なカブス
【4】カブス
計算できる先発投手はほとんどおらず、補強は必要不可欠な状態だ。28歳の速球派右腕ジェフ・サマージャが希望の星だが、トレード候補に名前が挙がっており、残留するかは微妙な状況。田中が加入すれば、一気にエースの役割を担うことになる。
田中はボストン、ニューヨーク、ロサンゼルスといった大都市を好んでいるとの報道もあるが、シカゴも条件には当てはまっていると言えるだろう。カブスはすでに田中との契約を目指して1億ドルを用意しているとの報道もあり、熱意は相当なものがある。近年は低迷が続いており、チーム再建の目玉として話題性十分の右腕の獲得を目指す。
ただ、打線も貧弱なため、援護は期待できない。苦しい状況で投げることになるのは確実なだけに、田中があえて弱いチームを選ぶかは分からない。一方で、再建を託されることを意気に感じる可能性もあり、チャンスはゼロとは言えない。
【5】ダイヤモンドバックス
パトリック・コービン、ウェイド・マイリー、トレバー・ケーヒルらが先発ローテーションを形成するが、陣容は十分とは言えず、絶対的なエースもいない。2年連続でプレーオフ進出を逃しており、巻き返しへの切り札として田中を迎え入れたい考えだ。
ケビン・タワーズGMは、カブスのホイヤーGMと同様に昨年11月のGM会議中に争奪戦への参加を明言。過去には、斎藤隆をチームに加え、黒田博樹の獲得も目指すなど、日本人投手を好んでいる。米国で話題を呼んでいる田中の“投球過多”についても寛容で、田中にとっては投げやすい環境と言えるかもしれない。資金面でも問題ないとされている。
ただ、アリゾナは日本人が多いわけではなく、住環境はいいとは言えない。砂漠の中にあるため乾燥しており、日本のボールよりも滑るとされるメジャー公式球がさらに手に付かなくなる可能性もある。WBCではメジャー公式球への適応に苦しんだだけに、これを田中がどう考えるか。判断材料の1つとなることは間違いない。
当然、この5球団の他にもチャンスは残されており、米国内でも、まだ10球団以上に可能性があると見られている。ただ、ここまでの動きを総合すると、資金面等で上記の球団がリードしている印象だ。それぞれのチームの特徴を考えると、一長一短があるだけに、田中がどんな決断を下すのか、興味は尽きない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count