マー君には不利な構造? 新たな本拠地となるヤンキースタジアムとはどんなところ?
アクセス抜群、特徴的な応援
ファンにとっては、アクセスが抜群であることも嬉しい。スタジアムはマンハッタンの北側にあるブロンクス地区にあるが、目の前の駅まで電車一本で行くことが出来る。3本の路線が乗り入れており、タイムズスクエアやグランドセントラルがあるミッドタウンからでも所要時間は20分ほどだ。
センター付近には「モニュメントパーク」があり、ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグといった往年の名選手の偉大さを改めて確認できる。左中間には永久欠番のボードが掲げられているが、その数は16個(18人)にも及ぶため壮観だ。球場内の食べ物も、メジャー観戦に欠かせないホットドッグなどは充実しているが、他球場に比べて全体的に高いとされている。
ブリーチャーと呼ばれる熱狂的なファンの応援も特徴的だ。彼らは右翼席に陣取り、試合開始と同時にサッカーの応援のように選手のチャントを始める。守備に就いているヤンキースナインは、これに1人ずつ手を挙げたり、頭を下げたりして応える。メジャーには日本のように鳴り物での応援がないことが有名だが、これはヤンキースタジアムでしか見られない景色だ。
さらに、7回の攻守交代の際には毎試合、第2の国歌と言われる「ゴッド・ブレス・アメリカ」が場内に流される。選手もファンも、これを起立して聞き、終了後に日本でもすっかりお馴染みとなった「テイク・ミー・アウト・トゥー・ザ・ボールゲーム(私を野球に連れていって」をスタジアム中で合唱する。他球場では、いきなり「テイク・ミー・アウト・トゥー・ザ・ボールゲーム」が流れることがほとんどだ。また、試合終了後に聞けるフランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」でも、ヤンキースタジアムにしかない雰囲気を味わえる。
田中の加入によって、球場まで応援に駆け付ける日本人ファンは増えるだろう。ただ、仮に活躍できなかった場合は、見る目の厳しいニューヨーカーからの容赦ない罵声やブーイングが待っている。ファンを味方に付けられるかどうかは、すべて入団後の活躍次第。ヤンキースタジアムで、田中はどんな歴史を刻んでいくのだろうか。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count