メジャーリーガーの「生の声」から探る田中将大のハイレベルな3球種
直球が武器になるのは最も大きな収穫
そして、田中にとって最も大きな収穫となったのは、直球も武器となることが分かったことだろう。メジャーの強打者に対して、日本では通用していた直球をいとも簡単に打ち返され、苦しむ日本人投手は多い。ただ、田中本人も「基本はやっぱり真っすぐなので、それが良くないと変化球が生きてこない。まずは真っすぐをしっかりと投げ分ける、投げきるところが大事だと思います」と話すように、軸がゆがめば投球は苦しくなる。
田中の直球に関して言えば、現時点でその心配はなさそうだ。その質の高さを評価したのは、2試合目に対戦したマーロン・バード。打席で低めへの直球を2球見逃したバードは、驚きを隠せなかった。低くてもボール自体は伸びているというのだ。
「直球は衝撃的だったね。低めに来て、そのまま(落ちて)ボール球になるだろうと思うと、ストライクゾーンにとどまるんだ。低めにきて、その高さにとどまって伸びてくる。最初の2球には本当に驚かされたよ」
軸となる速球さえも武器となれば、投球の幅は大きく広がる。2つの決め球が生きるばかりか、田中には他にもカットボール、ツーシーム、チェンジアップ、カーブと4種類の変化球があるのだ。
バードは田中の成功を確信する。
「ヤンキースはいつだって正しい選択をする。選手に大金を費やすけど、その選手は必ず活躍するんだよ。(成功は)間違いないね」
16日にはブレーブス戦が控える。2年連続プレーオフ進出中の強豪には、B・J・アップトン、ジャスティン・アップトン兄弟、フレディー・フリーマン、ダン・アグラといった好打者がいる。あらゆる相手と対戦することで、田中の真の実力は次第に明らかになっていくだろう。いずれにせよ、次も楽しみな試合となることは間違いない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count