【山本一郎コラム】今年のヤクルトはオープン戦ではちっとも勝てません
ヤクルトが日本一になる可能性
5対1でリードされたヤクルトに対して、8回に浅尾をマウンドに送り込み、必勝の態勢を敷く中日。対する小川ヤクルト、地味に攻め立てて2点を返し、2点差としてボルテージ上がりきったところで代打で出てきたのは志田。なんと志田。身体能力は素晴らしい志田だわー。あのさあ。他にいないのかと。いい選手なんだろうけどここ一番で出てくる打者じゃないよねって感じであっさりと凡退。
ヤクルトの悲運というか、あと一歩手が届かない感じってのは、こういう野口や志田のような「いや、居る分にはいいんだけどさ」という人材が大事なところで出てきてやらかすところですね。その意味では、城石も守備固めで出てきてサヨナラエラー然としたスワローズの伝統をいまに伝える確かな技術の類だと思われるわけじゃないですか。
先日も日本ハムを迎えてのオープン戦で、開幕戦を想定した布陣のスワローズにおいてショート西浦が派手に守備でやらかしての惨敗劇は目に余るものがあります。バレンティンのホームランと、沢山歩いた畠山、そしてスワローズに居ながら何故か故障とは無縁の田中浩康が干されながらも代打で出場無事凡退といったところだけが印象に残った試合でした。今年のオープン戦では谷内もショートで起用されていたようですが、たぶんシーズン後半になり、故障者が戸田で賑わうようになると、いつの間にかショートに森岡が定着していることでしょう。このあたり、スワローズの健康度は森岡の出番の多寡で見極められるような気がします。
さて今年のスワローズ、リーグ優勝はどうだか分かりませんが、何とかクライマックスシリーズに潜り込んで、どさくさに紛れて日本一になったりすることはあるのでしょうか。ないと思いますが、ファンとしてはわずかな可能性に期待を持ちつつ、シーズンインを待ちたいと思います。
補遺:
ヤクルト救援陣の悲惨な状況を表す「もうやまべ」で世界的に著名な山部太さんが二軍投手コーチで返り咲かれました。ロシア=ウクライナ間のクリミア情勢も落ち着いているうちに、一刻も早く戸田の状況を伝える山部ブログ“Young and Old” Diaryを復活させるべきです。
補遺2:
読者の方より、今年からスワローズの三塁コーチャーは福地だというご指摘がありました。そうだったんですか… 浅いセンター前ヒットで、エンドランのかかっていた一塁ランナーの畠山が果敢に三塁へ走っていって余裕のアウトを喰らっているのを見て、あれこそ城石と思っていたんですけど福地だったとは。大変失礼いたしました。三塁コーチャーが俊足でもランナーで出た畠山の足が速くなるわけではない、という当然の事態を改めて気づかされました。ありがとうございました。
【了】
山本一郎●文 text by Ichiro Yamamoto
ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。1973年、東京都生まれ。
著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。