メッツ・松坂大輔は、なぜ開幕直前にマイナー契約を結び直したのか?
松坂とメヒアをギリギリまで見極める球団側の意図
だが、球団側は決断を下せなかった。松坂と先発5番手を争っている24歳のジェンリー・メヒアも好調を維持しているからである。オープン戦では3試合と登板が少ないながら、防御率2・89。有望株として周囲の期待も大きく、将来的にメッツを背負って立つ右腕が、今年のうちに才能を開花させる可能性も十分にある。
もう少し2人を見てみたい、というのが首脳陣の本音だった。そして、メヒアを28日、松坂を29日に先発させ、最終判断を下すという結論に達した。どちらも同じブルージェイズ戦となるため、実力を測るには絶好の機会となる。
その結果、松坂とマイナー契約を結び直すという選択に到ったのはなぜなのか。
大前提として、メッツは松坂を手元に置いておきたかった、ということがある。退団となれば、他のチームが獲得に動く可能性があるからだ。10万ドルのボーナスを支払ってマイナー契約を結び直せば、他球団は手を出せない。29日の最終テストを受けさせるためには、この選択しかなかった。
裏を返せば、松坂に対して10万ドルを支払うことに抵抗はなかったということになる。このことからも、首脳陣が松坂のメジャー昇格をかなり真剣に考えていることが分かる。
では、どうして25日の時点でメジャー昇格を言い渡さなかったのかと言えば、これには契約の複雑な事情がある。