選抜高校野球を制した龍谷大平安 原田監督の男泣きを誘ったサプライズ
野球指導は「子育て」に近い感覚
選手たちも必死だった。「網の部分がないのでね、冬場、『腫れます』という子がたくさんいましたよ」と基本を叩き込んだことをよく覚えているという。
今年の春の選抜で優勝をして何を一番思い出すかと問われると、原田監督は真っ先に「教え子」と答えた。1年目に指導した練習風景がしみじみと頭に浮かぶ。これまで300人ほど指導してきた。
「僕の中では彼らは愛おしい存在。自分の子だと思っている。僕はどこでも教え子を『平安の子、平安の子』と言っている。ファミリーなんですよね。結婚式に呼ばれたりすると、自分の大きな財産だなとその子たちのことを感じますね」
そう言ってファミリーという言葉に力を込めた。
年月を経た今、野球指導は「子育て」に近い感覚だという。原田監督自身も年を重ね、教える対象が自分の息子のような世代になってきたからである。
「世の中、だいぶ変わっている。今の子と昔は違う。育った環境、社会が違う。僕は何をせなあかんのかと考えた時、自立させて卒業させることを大切にしている。将来のことも考える。自分自身も、野球に厳しく育ててもらったから今がある」
それはこれからも変わらない。だからこそ、今春の優勝はファミリー全員で勝ち取ったものだった。