選抜高校野球を制した龍谷大平安 原田監督の男泣きを誘ったサプライズ
お前ら、最高や
そして、優勝してから数日が経過した後のことだった。思ってもみない出来事が原田監督の身に起こった。龍谷大平安ボールパークのグラウンドに原田監督には内緒で、21年間の「ファミリー」、つまり教え子の有志たちが、優勝を祝いに集まっていた。みんなで声を掛け合っていたのだった。
グラウンドに指揮官が現れると、現役部員たちが並ぶ。そしてまずは彼らの手によって21回、胴上げされた。
優勝する前に冗談で監督は「(監督生活の)21年分の21回、胴上げしてくれよ」と言っていたのだが、実際には3回で終わっていた。「3回でしたね。(自分の身体が)重かったのかな」と笑っていたが、メンバーたちは監督の願い通りの回数を、2度目の胴上げで叶えてくれた。
そして、今度はOBたちの手によって、原田監督の胴上げが始まった。甲子園の三塁側で舞った後は出なかった涙が、この時はもう抑えられなかった。みんながグラウンドに帰ってきてくれたこともうれしかった。両手で顔を覆う原田監督。歴代のOBたちはオヤジの泣き顔を最高の笑顔で見守っていた。
お前ら、最高や。
原田監督は改めて平安の子どもたちを誇りに思った。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count