田中将大はコントロールのいい野茂英雄!? 「空振り奪取能力」と「ストライク率の高さ」が共存したピッチングに絶賛の声
「空振り」と「ストライク」という相反する要素が共存するレアケース
また、ヤンキースとメッツで活躍し、現在はヤンキース傘下のケーブル局YESで解説者を務めるデビッド・コーン氏も、スプリットの精度を絶賛する1人だ。
「彼はスプリットを80マイル後半(約140キロ台前半)で、ストレートと同じ軌道で投げる。途中までは速球の軌道に見えて、最後の瞬間に落ちるんだ」
コーン氏も現役時代は三振を多く奪うピッチャーとして知られていた。そんな元名投手が田中の投球で最も印象深く感じているのは、ストライクを多く投げていながら、空振りを量産していることだという。田中の3試合でのストライク率は69・5%を記録している。
コーン氏は「そこには相反する2つの要素がある」と言う。
「常識的には、ストライクを多く投げるピッチャーは打たせて取るタイプ。そして、空振りを多く取るピッチャーは、より多くのボール球を投げる。打者にストライクゾーンから逃げていくボールを追いかけさせようとするためだ。田中はこの2つのことを同時に行っている。彼はストライクを投げて、空振りを奪っている。このレベルの戦いにおいて、2つの要素が同居するのは、とてもレアなことだ」
空振りを奪うタイプの投手は、どうしても球数が多くなりがちだ。そして、これが最大の欠点にもなる。球数制限が厳しいと、どうしてもイニング数が制限されるからだ。だからこそ、メジャーでは打者の手元で微妙に動かすボールで、当たり損ないの内野ゴロやフライを打たせるのが好ましいとされる。
ただ、田中は長いイニングを投げることもできている。コントロールが素晴らしく、最初の3試合では球数も多くなっていない。22イニングを投げて、四球は2つだけ。さらに印象的なのは、83人の打者と対戦して、3ボールとなったのが9回しかないことだ。