“青い稲妻”松本匡史氏が語る、「代走屋」として積み重ねた200盗塁の価値
足を武器にできる選手が少なくなってきている
ただ最近では、全体的に、走ることを前面に押し出して勝負しようとする選手が少なくなってきたと松本氏は言う。その要因の一つとして、足が速い選手であってもバッティングを重視する考え方に変わってきていることが挙げられる。
「足が速い選手っていうのは絶対に必要なんですけどね。チームに1人、2人は必ずいるはずなんですよ。足を武器にできる選手が……」
松本氏はそう寂しそうに語る。
その意味では、今回200盗塁を達成した鈴木は球界の中でも貴重な存在と言えるだろう。初盗塁を決めた2002年4月14日の中日戦以来、12年もの間、その足を武器にチームに貢献し続けてきた。松本氏にとっても鈴木は思い入れが強い選手である。というのも、巨人で指導者を務めた時代に教えた中で、今でもプレーしているのは鈴木だけだからだ。
「もともと力のある選手ですからね。怪我がなければ、バッティングでもレギュラーを取っていたと思います。これからも、がんばってほしいですね」
そう言って教え子にエールを送る。いくつになっても「足」で勝負し続ける遅咲きの36歳。その雄姿は松本氏の目にも頼もしく映っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count