“青い稲妻”松本匡史氏が語る、「代走屋」として積み重ねた200盗塁の価値

規定打席に達したことのない鈴木が記録した“200盗塁”という快挙

“真の代走屋”とも言える男が節目の記録をマークした。4月29日、ヤクルト-巨人の9回裏1死一、三塁の場面。アンダーソンの代走として出場した巨人の鈴木尚広外野手(36)が二盗を成功させ、通算200盗塁を達成した。1997年のプロ入り以来、18年。巨人一筋で築き上げた記録は、史上72人目、巨人では史上5人目という快挙だった。

 鈴木はこれまで規定打席に達したことが1度もない。200盗塁も、その大半を代走で積み上げてきた。まさに走塁のスペシャリストとも言える存在だが、主に「代走屋」として鈴木が成し遂げた200盗塁にはどれほどの価値があるのか。2度の盗塁王に輝くなど通算342盗塁を誇る野球解説者の松本匡史氏に聞いた。

 松本氏は前置きとして、まず鈴木に対してある種の物足りなさがあったことを明かした。

「私から言えば、彼は本来はレギュラーを取らなきゃいけない選手だったんですよ。でも、昔から非常に怪我が多かった。だから、こういう形になってしまったんですが、ただ、この足だけは一流でしたね」

 実は鈴木が入団当初、巨人のファームで指導にあたっていたのが松本氏だった。その当時から鈴木に対しては期待をかけていたが、肘や肩などの故障が多く、主力に定着していくことができなかったという。「だけど」と松本氏は続ける。

「そこで無理をしてまで出場するような選手ならば、その時点で終わってしまっていた可能性もある。痛みを我慢しなかったことが、今につながっているのかもしれません。これだけ長く代走を続けることができているのですから」

 そして息の長い選手になった結果、たどり着くことができたのがこの200盗塁という金字塔だった。松本氏はこの数字に到達した鈴木の走りを高く評価する。

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