ダルビッシュ有と共に戦うもう一人のアジア人 「最高のチームメイト」と称えられる秋信守の素顔と凄さ
一番大切なのはコミュニケーションを取ること
最初は、単語を並べるだけの片言の英語だったが、一生懸命伝えようとすると、誰もが真剣に理解しようとしてくれたという。通訳がいないことで孤立するかと思いきや、みんなが積極的に食事に誘ってくれたり、休日には一緒に出掛けるようになった。そこで、チームメイトの人柄をよく知ることになり、野球をプレーする上でも円滑にコミュニケーションを図れるようになった。
「やっぱり一番大切なのは、コミュニケーションを取ることだと思う。失敗しても恥ずかしいことはない。アメリカで野球をやろうって決めたんだから、アメリカの文化に慣れて、アメリカの言葉を話せるようになった方がいいと思うんだ」
フィールド上では一切感じさせないが、今の立場を確立するまで、積み重ねた努力は計りしれない。アメリカに渡って15年。ありとあらゆる場所や状況で揉まれながら、たくましさと経験を積み上げてきた秋は、母国・韓国だけではなく、すべてのメジャーファンに認められる存在となった。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。