米メディアが選ぶ「メジャー最高の先発9投手」の中に日本人3投手 ダルビッシュ有、田中将大、岩隈久志の凄さ
完投経験のない昨年のサイ・ヤング賞、シャーザー
【マックス・シャーザー(タイガース)】
昨年のサイ・ヤング賞投手は6勝2敗、防御率3・20とまずまずの数字だが、三振、四球、ホームランの割合はピッチャーとして最高の栄誉に輝いた昨年と同じだという。記事では「彼のように4球種がすべて決め球となる投手はほとんどいない」と絶賛されている。今季は無失点のままで降板した試合が4試合ある。
今オフにはFAとなる見込みだが、開幕前にはタイガースの長期契約を断り、1552万5000ドル(約15億8000万円)の単年契約を結んだ。「(タイガースが延長条件で提示した)年俸総額1億4400万ドル(約147億円)もの大型条件を断り、FA市場に乗り込むガッツも賞賛に値する」と記されている。
マイナス要素はダルビッシュと同様に、メジャーでの完投経験がないこと。現時点で最高の投手かといえば、微妙だという。実際に、最近3試合の登板で計16失点を喫し、被打率も悪化している。2013年は素晴らしいシーズンだったが、キャリア通算防御率は3・64だ。
【アダム・ウェインライト(カージナルス)】
2009、2013年にナ・リーグで最多イニングを投げ切った(09年、13年ともに最多勝投手)。今季も日本時間7日の試合前の時点でリーグ最多93回1/3を投げ、1位の8勝(3敗)、防御率2・31、被打率1割9分4厘。記事では「彼のカーブは(打者の)膝と心を打ち砕き、銀行預金すら破産させることで有名」と決め球を称えられている。ポストシーズン通算防御率2・53は、比較の存在がないほどのトップで、今季6試合で7回以上を無失点に抑えている。
ただ、マイナス要素もある。被打率は上昇傾向。ナ・リーグ中地区は近年、カージナルス以外は貧打の球団が多いが、大量失点を喫する試合もあり「昨年は9失点と6失点の試合が、今季は7失点と6失点の試合があった」というデータを紹介しながらも、「ここはあら探しです」と注釈を付けている。
【フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)】
「キング」と呼ばれるマリナーズのエースの凄みを表現するために、セイバーメトリクスの評価指標である「FIP」が用いられている。2・62は過去3年でメジャー2位の数字。1位のカーショーは2・57だが、ア・リーグのヘルナンデスの方が強い打線と対峙していると高く評価されている。今季は8勝1敗、防御率2・57で、打たれた本塁打はわずかに3本。6シーズン連続で200イニング以上を投げている。
そして、決め球に関する描写はやはりユニークだ。「チェンジアップ、あのチェンジアップ。もしもシェークスピアが存命なら、チェンジアップに関する愛の定型詩を書いただろう」。名作「ロミオとジュリエット」の名文句に重ねながら、こう記されている。
今季のチェンジアップの被打率は1割4分3厘で49奪三振、3四球。本塁打は1本打たれたが、「お前を称えよう、(ホームランを打った)マット・ドミンゲス」とも書かれている。ここ数年はマリナーズの酷い守備陣の前で投げ続けており、特に13年シーズンの外野陣は酷かったというが、三振と四球の比率はキャリア最高。わずか1~2点という打撃陣の乏しい援護で勝たなければいけないプレッシャーと対峙してきた。「『キング』という異名にも誰も異論はないだろう」とされている。