強豪校が続々と敗退 夏の高校野球埼玉大会はなぜ波乱続き?
開幕戦での山村国際の金星が他校にも自信を与える
一方、聖望学園は翌16日に立教新座になんと1-8のコールド負けをした。相手チームの捕手は元巨人軍の吉村禎章氏の愛息が務め、攻守にわたり活躍。阪神・鳥谷敬内野手の母校でもある聖望学園は相手に主導権を握られたまま、夏が終わった。浦和学院も聖望学園も先取点を取れず、焦ったことが敗戦の一因。聖望学園の試合スタイルは先行逃げ切りだった。今回は逆にそれを相手にやられ、浮足立っていた。
何よりも県立川口、立教新座に自信を与えたのは、開幕戦で花咲徳栄を2-1の接戦で破った創部6年目の山村国際高校の奮闘だろう。
元々は女子高だった同校。彼らは花咲徳栄が例年ほどの強くないことと、不慣れなノーシードであることをプラスにとらえた。プロ注目の捕手・堀内汰門選手(3年)を中心に、「絶対に負けない。勝ってやる」という挑戦者の気持ちが、プレッシャーのある相手を上回った。山村国際の勝利が、その後、強豪校と対戦するチームの潜在意識に「自分たちもやれる」という思いを植え付けた。
これで埼玉はどこが勝ち抜いてくるかわからなくなった。プロ注目の上条将希投手をはじめ、控え投手にも好素材がそろう市立川越や、再試合で2試合連続延長戦突入という激闘を制した埼玉栄、春日部共栄などが軸となる。しかし、夏の大会は何が起こるかわからない。金星をつかんだチームがその勢いで頂点へ駆け上がることも考えられる。第1シードのいなくなった埼玉の戦い。目が離せなくなってきた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count