ヤンキースを救った黒田博樹を地元メディアも絶賛 「黒田がついにエースの投球」
黒田の好投に相手先発は根負け、敵将も脱帽
その投球は、まさに「圧倒的」と呼ぶにふさわしいものだった。レイズを率いる名将ジョー・マドンも「私が今まで見た(黒田の投球の)中でもとてもよかった。本当に、本当にいい投球だった」と脱帽していたという。
そして、この快投は相手投手にも影響を与えていた。ジェレミー・ヘリクソンは5回2死まで無安打投球を続けながら、そこから4安打1四球と崩れて3失点。これは、黒田の重圧に負けた結果だったようだ。
「今日の彼のボールを見たら、1―0で辛抱しなければいけなかった。それなのに打ち込まれてしまった」
ヘリクソンは5回を終えた後にダッグアウトに戻り、しばらくタオルをかぶったまま顔を上げることができなかった。黒田のボールを見て、味方の援護は期待できないと感じたからこそ、神経をすり減らせていった。そして、5回につかまった。
この日はマーティン・プラド、スティーブン・ドリュー、チェイス・ヘッドリーと7月のトレード期限までに獲得した内野守備陣が好守を連発したことにも助けられた。ゴロを打たせてアウトを積み重ねていく投手だけに、前半戦と比べて段違いのレベルにある内野の守備が、黒田の投球にリズムと安定感、そして思い切りの良さを与えたことも大きい。
黒田自身も米メディアの取材に対して「あまりコースを狙いすぎずにストライクをアグレッシブに取りにいこうと思っていた。それが大きかった」と話している。
補強の効果もあり、ヤンキースの先発陣は何とか持ちこたえている。ただ、黒田がエースとして本来の役割を果たせば、負担の減る新加入の選手はさらに大きな力を発揮するかもしれない。プレーオフ進出に向けて、頼もしい男が復活を遂げた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count