2年ぶり10勝へ 成瀬善久が胸に秘める正妻・里崎智也への思い
成瀬に強く芽生えた自覚
ふと、冷静になって考えた。「これまでは中心選手だった里崎さんにおんぶにだっこだった。若い子のことをこれから見ていくのは僕なんじゃないのかな。きちんとフォローをしていかないといけない」。成瀬の中で、強い意識が芽生えた。
「里崎さんがけがして、今年途中に2軍にいった。1軍にいなくなったことで、僕にそういう機会(若手を指導する)を与えてくれたのかもしれない。『頼むぞ!』って里崎さんが僕に言ってくれていたんだと思います」
成瀬ももう11年目の28歳。チームでは中堅選手。里崎から教わったロッテの魂を若い田村や江村に教え込んでいくことを心に決めたのだった。
ロッテは現在Bクラス。西武や楽天とともに下位に低迷するシーズンになってしまった。9月28日の本拠地のオリックス戦では里崎の引退試合が行われる。チームは1つでも順位を上に上げて、少しでも功労者をいい形で送り出したいと思い、戦っている。
成瀬は言う。
「本当にお世話になった方なので、僕の成長をこれから見せられたらいいと思う」
成瀬個人としては球界屈指の投手になった。これからはチームリーダーとして、牽引していく責任が生まれる。成瀬の指す「僕の成長」はこれからのチームの成長でもある。幸い、ロッテは鈴木や加藤ら若い選手が育っている。彼らが経験を積み、成瀬たちがバックアップしていけば、必ずロッテは浮上する。成瀬は里崎から受けた思いを忘れずに、これからもロッテを支えていくだろう。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count