1950年以降3人目の「四球>安打」が実現間近 打率だけでは計れない楽天・AJの高い貢献度
四球と長打と三振の関係
時代を感じるのは、同じような成績を残し優勝にも寄与した2人に対するオフの処遇の違いだ。
1973年、クラレンスは本塁打と出塁率でチームのリーグ優勝に貢献しながら、球団は打率の低さ、三振の多さなどを理由に翌年の契約を結ばなかった。一方アンドリューは、2013年の楽天初の日本一の功労者として認められ、推定4億円とも言われる高額年俸で契約を更新した。
アンドリューの働きを価値のあるものだと見なす考え方は、次のような理屈に基づいている。
1. 得点は塁に出るプレーと、塁に出た走者を前に進めるプレーが絡み合って生まれる。両方が打者にとっての「攻撃力」
2. 出塁の形は問わない。安打でも四球でもいい
3. 四球は選球眼だけではなく、備えた長打力で投手にかけたプレッシャーでも数が増える
4. 投手にプレッシャーをかける過程で、凡打や三振が増える(=打率が下がる)のはしょうがない
ボールをよく見極めながら、長打にできるボールには強振する。投手はそんな打者を警戒し真っ向勝負を避ける。これを継続することで、一定量の長打と四球を同時に稼ぎ貢献する――。強打者であれば誰しもこの傾向が表れるが、2人はその中でもとりわけ四球の比重が大きいタイプということになる。
彼らを評価する人たちは「打率は低く見栄えは悪いが、四球、長打、三振をうまくコントロールして、チームの得点増に貢献している」と見ている。