黒田博樹の去就を左右する「199」という数字 現役続行か、引退かで揺れる39歳の胸中とは
黒田が現役続行か引退かで悩む理由とは
なぜ、黒田はそこまで悩むのか。
それは、それだけ1試合1試合にかける思いが強いから。これが現役最後の試合になってもいいと常に思っているから。大げさではなく、「命」をかけて1球1球を投げているから。それだけ真摯に野球に向き合っているから。そして、それだけ壮絶な思いを持ってマウンドに上がることの苦しさを知っているから。
「それ(苦しさ)をはね除けるパワーがあるかどうかと、あとはメンタル的にどこまで自分をプッシュしてやっていけるか。そういう部分での判断が難しい。来年、40歳になったときの自分の体っていうのは、まだ自分でも想像できないですし、契約する以上はそれなりの責任をもって契約しないといけないので、難しい部分もあります」
こう悩ましい胸の内を明かす。
一方で、黒田を現役続行へと傾かせる要素もたくさんある。それは他でもない「自信」だ。
悩みに悩んで「僕の中では特別なチーム」と表現するヤンキースと再契約し、現役続行という道を選んだ今季も、名門球団の大黒柱は黒田だった。しかも、6連敗という失速でシーズンを終えた昨年の反省を生かし、今年はプレーオフ争いの佳境となる後半戦に状態を上げた。
「前半の滑り出しはあまり良くなかったんですけど、後半に去年の悔しい気持ちを何とかいい形で覆せた。それが一番良かったかなと思います。去年は特に後半のこの一番大事な時期に思ったようなピッチングできずに、自分の中でチームにとってプラスになってないという気持ちがあった。それが今年、逆にそこである程度のピッチングができたんで、自分の中で調整法というか、そこは成功したかなと思っています」
大ベテランながら、常に進化を追い求め、成長を続ける。年齢を重ねても変わらぬ向上心は、来季へとつながっていくようにも見える。
黒田の決断を占う上で、鍵となる数字がある。「199」。冒頭でも紹介した、今年の投球回数だ。