黒田博樹はなぜ現役引退を考えるのか 衰えを見せない39歳の覚悟とプロ意識
依然として高い評価を受ける右腕はなぜ「引退」を選択肢に入れるのか
ヤンキースからフリーエージェント(FA)となった黒田博樹が、今オフも引退を真剣に検討していると報じられている。来年2月に40歳を迎えるが、メジャーで先発ローテーションの柱を任せることができるピッチャー。来季も1年間、現役を続けることで、今季の1600万ドル(約19億円)に近い年俸を払うチームはいくつもあるだろう。
それなのに、なぜ引き際を考えるのか。そこには、黒田の野球に対する真摯な姿勢、そして強い責任感がある。
今年2月14日。田中将大投手の加入で日本からも報道陣が大挙して押し寄せたフロリダ州タンパでのヤンキースキャンプを翌日に控え、バッテリー集合日のために施設を訪れた黒田は苦笑いを浮かべながら話した。
「何年たっても、やりたくないなと。年々、キャンプに来るのが腰が重くなるというか、そういう感じはしますね」
昨オフも黒田は真剣に考えた。現役続行か、引退か――。
その答えを出すために、色々な人の話を聞いたという。そして、2014年シーズンも投げ続けることを決めた。キャンプ中にはこんな覚悟を明かしている。
「(引退という)決断はどういうタイミングでどういう時にするのか、僕でもわからない。そういう決断をしたことがないので。ただ、先輩たちの人の話を聞いて、自分でももう1度、チャレンジというか、トライしないといけないと思います。特にこっちに来てからは『いつが最後の日になっても、最後の年になっても』という心の準備と、それだけの覚悟でマウンドに上がらなきゃいけないという気持ちは変わらないです」