改めて注目されるイチロー移籍の衝撃 ヤンキースへのトレードは「彼はいかに無私無欲であるかを示した」
その他6つの衝撃的なトレードは?
ちなみに、イチロー以外の衝撃的なトレードとして挙げられたのは、以下の通りだ。
1番目は1982年のライン・サンドバーグのフィリーズ→カブスの移籍。当時、スター選手だったラリー・ポーワの後釜として期待され、1981年にメジャーデビューを果たしたばかりのスター候補生が、翌年にポーワとともにカブスに出された。不釣り合いなトレードだったこともあり、ファンの失望も大きかったという。サンドバーグはカブスでスーパースターとなり、野球殿堂入りも果たした。
2番目はバーノン・ウェルズのトレード。ブルージェイズのスター外野手は、2011年にエンゼルスにトレードされた。驚きだったのは、明らかに衰えが目立ってきていたウェルズが、4年8600万ドル(約100億円)の巨額契約を残していたことだろう。エンゼルスはそのほとんどを引き受け、「最悪のトレード」などと批判された。
イチローに次ぐ4番目に上がったのは、フアン・ゴンザレスのレンジャーズからタイガースへのトレード。1992、93年に2年連続で本塁打王に輝き、1996、98年にはシーズンMVPにも輝くなどスーパースターとしての地位を確立していたが、ポストシーズンで不調に終わった1999年に3対6の大型トレードで放出された。
5番目は、スティーブン・ドリューの今季途中のレッドソックスからヤンキースへのトレード。強烈なライバル関係にある両チームの間でトレードが成立したのは1997年以来とあって、衝撃は大きかった。
6番目も2012年オフに成立したばかりの大型トレード。マーリンズが遊撃手のホセ・レイエス、先発左腕のマーク・バーリー、快速右腕のジョシュ・ジョンソンら5選手をブルージェイズに放出し、若手7選手を獲得した。実に12人が絡むトレードで、マーリンズがレイエス、バーリーをわずか1年で放出したことも驚きを呼んだ。
7番目は1997年にホワイトソックスが行ったトレード。地区首位のインディアンスとわずか3・5ゲーム差しか離れていなかったにも関わらず、チームは7月のトレード期限でウィルソン・アルバレス、ロベルト・ヘルナンデス、ダニー・ダーウィンと3人の主力投手をジャイアンツに放出。周囲からは“ホワイトフラッグ(白旗)トレード”と揶揄された。
今後も語り継がれるであろうイチロー移籍の衝撃。結果として、イチローはヤンキースで悲願のワールドシリーズ出場を果たせず、不可解な起用法などにも苦しんだ。この2年半の経験を経て、来季はどのチームのユニホームに袖を通すのか。日本が誇る安打製造機の決断には、変わらぬ注目が集まっている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count