MLBでも急速に勢力を拡大 約2万人に1人がメジャーリーガーになる島
注目度高まるオランダ領キュラソー、なぜ名選手が続々と輩出されるのか
2014年、メジャーではアメリカ合衆国を合わせて17の国と地域からやってきた選手たちがプレーした。開幕時にロースター25人枠もしくは故障者リストや制限リストに入っていた選手は合計853人。最多はアメリカ人だが、その後をドミニカ共和国、ベネズエラ、キューバと続く。日本は9人でメキシコと並び7位タイだが、日本に追いつけ追い越せとばかりに急速に勢力を拡大している地域がある。それがオランダ領キュラソーだ。
キュラソー島は、南米ベネズエラの北約60キロのカリブ海に浮かぶ小さな島で、人口は約15万3000人、面積は横浜市とほぼ同じ444平方キロメートル。昨季日本の本塁打王に輝いたウラディミール・バレンティンの故郷ということで、日本でもなじみ深い場所だろう。バレンティンのほか、楽天で2年プレーしたアンドリュー・ジョーンズ、かつてロッテなどでプレーし、今はMLBジャイアンツで打撃コーチを務めるヘンスリー・ミューレンもまた、このキュラソー島出身だ。
現役メジャーリーガーに目を移すと、先日ダイヤモンドバックスからヤンキースへトレード移籍したジジ・グレゴリウス、アンデルトン・シモンズ(ブレーブス)、ジョナサン・スクープ(オリオールズ)、ジュリクソン・プロファー(レンジャーズ)、ケンリー・ジャンセン(ドジャース)、ジャイアー・ジャージャンス(ロッキーズ)、ロジャー・バーナディーナ(レッズ)と7人が名を連ねる。
名選手の輩出地としてポピュラーになりすぎた感の強いベネズエラやドミニカ共和国に代わり、最近ではこのキュラソーに注目するチームが増えてきた。キューバも才能の宝庫と言われるが、亡命などの手続きを経なければならないため、メジャー球団と契約できる段階になると年齢は20歳前後になる。だが、キュラソーなら17歳から選手契約を結び、しっかり育成することができる。身体能力は高いし、野手の場合、何よりも守備が確実。まだサンプル数は少ないが、賭けてみる価値は十分にあるというわけだ。
今月14日にニューヨーク・タイムス紙に興味深い記事が掲載されていたので、少しご紹介しよう。記事を執筆したデービッド・ウォルドースタイン記者は日本にも造詣が深い人物で、アメリカ国外の野球事情に詳しい。