黒田博樹と田中将大 ニューヨークで築き上げた真の信頼関係
グラウンド外での付き合いも増え、距離を縮めていった2人
キャンプ中は主にグラウンドで信頼関係を築いていった2人。関西弁でのやり取りが、取材中の報道陣のところまで聞こえてくることもよくあった。
「自分が25歳の時と比べられると、考えられないくらい落ち着いてるね」
シーズン直前、黒田は田中の印象についてこう明かしている。そして、グラウンド外での付き合いも増え始めた開幕後に、14歳も差がある2人の距離はどんどん縮まっていった。開幕カードのアストロズ戦が行われたヒューストンでは、黒田が田中を誘う形で日本食レストランへと食事に出かけ、“決起集会”を行っている。
シーズン初登板は、黒田が6回3安打2失点ながら援護がなくアストロズに敗戦。一方で、田中はその2日後にメジャーデビューのブルージェイズ戦に登板し、序盤にばたつきながら7回6安打3失点にまとめて初勝利を挙げた。黒田は田中の登板後に「自分の中で切り替える修正能力が、この世界で一番大事なこと。頼もしいというより、僕が(田中に)ついていけるかですよ」とうれしそうに話している。
田中が昨季最大のアクシデントに見舞われた時にも、2人の信頼関係が垣間見えた。
前半戦は破竹の勢いで白星を重ねていたルーキー右腕は、7月8日のインディアンス戦で右肘靭帯の部分断裂という重傷を負い、長期離脱を余儀なくされた。その3日後、開幕から本調子ではない中で先発ローテーションを守り続けていた黒田は、田中からメールで「迷惑かけます」と連絡を受けていたことを明かした上で、こう話している。