黒田復帰は球史に残る出来事 今季40歳右腕はあと何年活躍できるのか?
黒田はあと何年活躍できるか?
黒田の今シーズンについて、間もなく40歳という年齢を不安視する声は少なくない。確かに黒田はベテランもベテランであり、若手投手などに比べ前年の成績はあてになりにくそうだ。ただし、現時点の成績の傑出具合からは、極端に成績が落ち込むリスクはそこまで大きくないようにも映る。
昨年、今年と続けて90年代最強チームと謳われたアトランタ・ブレーブスのエースであったグレッグ・マダックス、トム・グラヴィン、ジョン・スモルツの3投手が殿堂入りを果たした。ほんの一例に過ぎないが、メジャーリーグのファンであればおなじみのこの3人の39歳のシーズンと黒田の昨シーズンを比べてみる。
黒田の成績は殿堂入りした3投手にまったく引けをとらない内容だ。マダックスは、42歳となる2008年まで現役を続行。それまでの3年間は210、198、194イニングにわたりマウンドに立ち37勝を挙げた。グラヴィンは09年に引退したが、2006、07年はそれぞれ198、200.1イニングを担い28勝。スモルツは07年、40歳のシーズンに205.2イニング登板し14勝を挙げている。
公表されていない故障などがなければ、黒田が1~3シーズンの範囲でこれまでに近いパフォーマンスを示すと踏むのは、それほど無理のない予測と言えるだろう。
黒田は「これまで来日したことのないレベルのメジャーリーガー」であり、かつ「日本の環境への適応」という大物獲得時最大の懸念も小さくて済む、補強の対象としては最高に魅力的な存在だ。加齢というネガティブな要素もあるが、一方でMLBよりもパワーで怖さのないNPBの打者が相手になるというポジティブな要素もある。これから築けるキャリアには限りがあるだろうが、日本で最後の輝きを見せる可能性は十分あると見ている。
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DELTA・水島仁・秋山健一郎●文 text by DELTA MIZUSHIMA,J. AKIYAMA,K.
DELTA プロフィール
DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。