【小島啓民の目】なぜイチローは超一流になれたのか? 球児が学ぶべき心構えとは

「なぜ野球をやっているのか」が明確なら、必ず野球を嫌いになることはない

 一方、子供たちにとって「プロ野球選手になりたい」だけが野球をやっている目的でしょうか?

 成長していく過程で、例えば高校選手に「なぜ野球をやっているの?」と質問すると「自分の成長のためです」と答える選手が多くいます。単純に「プロ野球選手になりたい」という小学校選手の回答とは違ったものとなります。

 このように、野球に関わっていくモチベーションは、競技年齢とともに変化していくわけです。

「なぜ野球をやっているのですか?」「なぜ野球なのですか?」と敢えて、再度ここで質問をします。これが明確になっていれば、必ず野球が嫌いになることはありません。私は、チーム戦でありながら、局面では一対一の勝負ができる野球が好きです。

 少し禅問答みたいになりましたが、野球に関わる自分の心の置きどころをしっかり明確にすることこそが上達する上で非常に大事なことです。

「夢を持て!」、ここまで考え抜いて「夢を持て!」です。

 そうすれば、軸がぶれることはないのです。

【了】

小島啓民●文 text by HIROTAMI KOJIMA

小島啓民 プロフィール

1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。

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