最後の世界一から107年目 名将&エース左腕を迎えたカブスは躍進なるか
バラバラだったパズルのピースが1つの絵を描き始めた
2012年にエプスタイン球団社長とホイヤーGMを迎え入れてから、カブスは根本的なチーム立て直しに乗り出した。実績のあるベテラン選手を次々とトレードで放出し、若手有望株を集め、勝てるチーム作りの目標を2015年もしくは2016年に設定した。2008年にプレーオフ進出して以降、成績が奮わなかったため、ドラフトでの上位指名権を持っていたことも幸いし、傘下ファームシステムはメジャー屈指の質の高さに変化。その中でも、期待度の高い野手ハビエル・バエツ、クリス・ブライアント、ホルヘ・ソレール、アディソン・ラッセル、投手ではカイル・ヘンドリクス、ニール・ラミレスらが順調に成長したことで、明るい未来の兆しが見えてきた。
レッドソックスを勝てるチームへと変えたエプスタイン球団社長の計画は順調に進んできたわけだが、同時に問題も浮上。若手を牽引するベテランの欠如だ。チーム最古参の遊撃手カストロですら今年で25歳で、デビュー以来5年間も勝ち越しのシーズンを知らずに育ってきた。勝つことを知るベテラン=レスター、カリスマ性とリーダーシップを持ち合わせる指揮官=マドン監督の加入で、バラバラだったパズルのピースが1つの絵を描き始めた。
それでも、今年はまだパズルは完成しないと思っていた。野手陣に物足りなさを感じずにはいられなかったからだ。投手陣はレスター、ハメル、モットら経験と実績のあるベテランが加わったが、野手はと言えば、捕手のモンテロとロスが加わったくらい。ロスは人格者として定評のある人物だが、控え捕手なだけに毎日プレーをするわけではない。だが、カブス・コンベンションから一夜明けた19日、カブスはアストロズから中堅デクスター・ファウラーをトレードで獲得。今年のパズル完成にグッと近づいた。
28歳ながらメジャーで8年以上の経験を持つベテラン、ファウラーは、期待される役割を自覚している。「若いチームでプレーすることは楽しみ。若手選手が成長する手助けをしたい」と地元メディアに話しているが、彼の加入があるかなしかによって、今季カブスの命運は大きく変化することになりそうだ。