【パ×Full-Count】東北930万人をファンに 創設から10年経過、楽天の新たな挑戦
楽天が見据える未来とは
2005年シーズンから新規参入を果たした楽天も球団創設から昨季で早10年が経過した。13年シーズンには星野前監督のもとで日本一を達成。翌14年シーズンは一転、最下位に低迷したものの、本拠地・コボスタ宮城に来場するファンの数は増え続け、同10月7日のオリックス戦では球団史上最多の2万6108人を動員した。年間でも145万233人と最多を更新。初年度の05年からは約50万人増、日本一となった13年シーズンと比べても約17万人増と着実に来場者数を伸ばしている。
その楽天が今、最も力を注いでいるプロジェクトがある。東北全域に対する地域密着活動だ。
「東北楽天ゴールデンイーグルス」というチーム名が示すように、もともと「東北」エリア全域を基盤とした球団経営を目指した楽天だが、創設当初は本拠地周辺の宮城・仙台をカバーするのが精いっぱいで宮城以外の5県に積極的にアプローチする余力がなかった。それが12年、新たに就任した立花陽三社長が改めて東北全体に活動エリアを広げる方針を打ち出したことで、球団職員の意識も変わった。東北6県の地域貢献活動やファン拡大施策を行う「地域密着推進部」も発足。部に昇格する以前は2名程度で行っていた活動を6名の専属スタッフで展開していくことになった。
また、12年12月には社内プロジェクト「東北ろっけん活動」を宣言。同活動の一環として、スカウトやチームスタッフを含めた全職員のチーム分けを実施。縦割りの組織の中で、部署や役職関係なく「チーム青森」「チーム秋田」「チーム岩手」「チーム山形」「チーム宮城」「チーム福島」の6グループに振り分けた。
地域密着推進部の江副翠部長は言う。
「会社として東北に出ていこうといっても選手や職員の意識がまず変わらないといけないというのが最初の問題意識としてあって、じゃあ職員全員が部署やそれぞれの仕事関係なく東北に対する意識を持つにはどうしたらいいんだろうと考えました。それで出てきたのが、部署横断型の『チームろっけん』というプロジェクトです。
このチーム制ができるまでは、地域やスタジアムの清掃活動、試合のポスター貼りなど、職員総出の仕事は部署ごとに行っていましたが、これを『チーム青森』から『チーム福島』までチーム単位で割り振ることで、チームへの帰属意識や仲間意識が高まっていき、相乗効果が生まれました」