MLBの更なる繁栄へ 新コミッショナーが見据える「未来」とは
大切な土台作り、すべての子供たちが野球を楽しめる環境へ
アメリカでは「National Pastime(国民的娯楽)」と呼ばれる野球だが、ファン離れが進んだ時もあった。1994~95年にかけて発生したストライキの後がまさにそれ。ちょうど「ステロイド時代」に重なるわけだが、当時メジャーリーグ機構が薬物使用の取り締まりを強化しなかった理由の1つは、皮肉にもホームランや豪速球で超人的な活躍をする「ヒーロー」たちがファン離れを食い止めるために一役買っていたからだ、という説もある。
現在も、アメリカンフットボール(NFL)やバスケットボール(NBA)の人気に押されている事実は否めない。どうやったら安定した人気を保ち、さらに発展させていくことができるのだろうか。
ここで土台作りの登場だ。競技人口を増やすためには、子供たちが野球をプレーできる環境を整え、高校、大学と成長する過程でプレーを続行できる=夢を追い続けられるようにサポートする態勢を整えることが大切。コミッショナーはリトルリーグをはじめとする子供たちに向けての野球プログラムだけではなく、高校、大学とアマチュア野球全体との連係を強化することで、優れた才能が他競技に流出しないように努めていくという。
また、貧富の差が激しいアメリカでは、野球をプレーする機会にすら巡り会えない子供たちもいるのが現状だ。特に、グラウンドを確保しづらい大都市圏の貧困地域の子供たちが、野球と出会い、楽しめる環境を整えていくことに尽力したい、とも話している。