「見返すというよりも……」 巨人入団の堂上剛裕が秘める古巣中日への思い
「中日を見返したいという気持ちは持っていない」
移籍後は外野や一塁をこなしている。拙守が目立つが、現時点では打撃の良さがそれを上回る。長野らも順調に回復していることから、枠は狭まっていく。堂上が1軍に定着するためには、打撃を維持しながら、阿部のバックアップメンバーとして一塁の守備を向上させていくことが必要だろう。
練習試合でもホームランを放ち、アピールは続く。19日に行われた中日との練習試合でも、センター前へヒット。古巣へ好調をアピールした。しかし、堂上に浮かれた気持ちはない。今の立場を理解し、黙々とプレーした。
働き盛りの29歳。愛知・愛工大名電出身で、父も弟も中日選手と、ドラゴンズ一家だ。地元に愛された選手だったが、成績が伴わなければ放出されるのがプロの世界。悔しさもあれば、恨みもあるだろう。ただ、堂上は一切、それを口にしようとはしない。
「中日を見返したい? そういう気持ちは持っていないです」
あえて肯定しないように努めているかにも見えるが、それは堂上のプライドかもしれない。そして、こう続けた。
「見返す、というよりも、ナゴヤドームのファンの前で、打ちたいです。元気なところを見せられたらいい」
感謝の言葉を言えぬまま、名古屋を去った。支配下登録となり、育ててもらった場所で活躍を見せることが、堂上の本望なのだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count