大声援が呼んだ番狂わせ 松山東が掴んだ「7000人、82年」分の1勝
「ピンチになったらスタンドを見ろ」味方に力を与え、相手に重圧をかけた大声援
三塁側ベンチから指揮を執った堀内監督は言う。
「なんだか、甲子園じゃないみたいで……。ここが、ホームグラウンドのような気がしていました」
その異様な迫力は、相手のエースをものみこんだ。二松学舎大付の背番号1・大江竜聖は実に16もの三振を奪いながら、要所でことごとく踏ん張り切れなかった。昨夏は1年生ながら選手権で1勝を挙げた実績を持つ好左腕。甲子園のマウンドには慣れているはずだった。
堀内監督は実感を込め、振り返る。
「スタンドに目をやると、みんな必死に応援してくれて……。それが相手のプレッシャーになってくれたのだと思います」
試合後、響き渡る校歌を口ずさみながら、指揮官は感極まっていた。
「私自身もこの学校のOB。80年以上のブランクを感じて、なんとも言えない気持ちになりました。選手には『ピンチになったらスタンドを見ろ』と言っていた。応援がものすごく力になりました」
掴み取ったのは、グラウンド上の18人だけじゃなく、スタンドの7000人と82年分の想いを結集させた1勝だった。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count