味方の落球にも、自分を責めたプロ注目右腕 垣間見せたエースの「決意」

夏の大化けを予感させた快投、「みんなを盛り立てていけるピッチャーになりたい」

「あの回先頭にヒットを打たれ、満塁にされた。満塁にしたことでみんな緊張感が出てしまう。満塁にせず、しのがないといけなかったと思います」

 21世紀枠での初出場。ただでさえ、硬くなってしまう。三塁側アルプス席には超満員の応援団が集結した。それなのに味方をさらに硬くさせるような場面を作ってしまった。背番号1が責めたのは他でもなく自分だった。

 エースとしての責任があるからだろう。落球直後には努めて明るく笑い、「アイツの表情が固まっていたので。『切り替えていこう』と声かけしました」と仲間を鼓舞した。

 昨夏に右肩を痛め、秋大会以降は3か月間のノースロー。今大会は完調途上だった。それでも「細かいところまで仕上げられなかったのは自分のせい」と言い訳しなかった。

 そんな中での快投はむしろ、21世紀枠の域を超え、夏の大化けを予感させる。

「味方がエラーをしても、エラーがなかったことになるような、みんなを投球で盛り立てていけるピッチャーになりたい」

 試合後、拙守を責める言葉はひとつもなく、聞こえてきたのは、奪三振が増えたが故に球数を要したことへの反省だった。

 オレは悲運のエースなんかじゃない。森の口ぶりからは、本物のエースになろうとする断固たる決意が聞こえてきた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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