売りは打から投へ 驚異のチーム防御率1.74で首位のヤクルトはなぜ変貌?
真中監督がキャンプに明かしていた戦い方、「今年は守り勝つ」
昨年のヤクルトは投手陣が崩壊した一方、リーグトップの打率2割7分9厘、667得点と打撃の良さが目立った。ただ、今年は川端、雄平、畠山らの奮闘はあるものの、チーム打率2割3分8厘はリーグ5位、77得点は同4位タイとなっている。バレンティン、ミレッジを怪我で欠いていることもあり、迫力は昨年ほどではない。
バレンティンは24日の巨人戦で復帰したものの、わずか1試合で足を痛めて再び登録抹消。野口氏は「1人いないだけで周りに与えるプレッシャーはすごい」と、他選手にかかる負担が大きくなっていると見る。バレンティンが復帰すれば「真ん中に太い軸が入る」だけに、打線はまだ我慢の時期。昨年とは真逆の戦い方になっている。
もちろん、バレンティン、ミレッジの長期不在は誤算だ。ただ、実はこの戦い方は真中監督の想定通りだと、野口氏は明かす。
「キャンプの時に真中さんが僕に宣言したんです。『今年はちょっとやるよ』と。『また今年も打線が好調ですか?』と聞いたら『守り勝つよ、今年は。今年はピッチャーいいよ。見てて』と言っていました」
現役時代にチームメートだった野口氏は、新指揮官について「明るい人ですからね」と説明する。「何があってもクヨクヨ引きずるような人じゃない。うまく自分で切り替えますよ。現役の時からそうでした」。ここまで3連敗のないヤクルトだが、真中監督の明るい性格も大きく影響しているかもしれない。
前年最下位からのリーグ優勝となれば、史上5度目の快挙。投手陣はそう簡単に崩れそうにない。しかも、主砲を欠いた強力打線がまだ本来の実力を発揮していないことを考えれば、頂点に立つ可能性は十分にあると言えそうだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count