メジャーリーグで議論に熱 DH制に統一すべき?
打席に立つことにプライドを持つ投手も
一方、ナ・リーグのように投手が打席に立つ場合、もちろん野手ほどの打撃力は期待できない。だが、中には打撃の得意な投手もいるし、送りバントを決めれば確実に走者を進めることもできる。もちろん、投手はピッチング以外に打撃のことも考えながらプレーしなければならない。さらに、投手交代のタイミングもマウンド上の事情だけに限らず、絶好の得点機で回ってきた投手の打席で代打を送る場合もあるなど多岐にわたる。
野球という同じスポーツながら、極めて性質を異とする2つのスタイルが存在すること自体、極めて興味深い。どちらのスタイルがいい、という判断は、個人の好みによるものだろう。投手が怪我をするリスクが増えるから打席には立たない方がいい、という主張は短絡的すぎる。何よりも、野球本来のルールでは、投手が打席に立っていたことを忘れてはならない。
面白いのは、ナ・リーグの投手たちの多くが、打席に立つことにプライドを持っていることだろう。今回の議論を呼ぶきっかけを作ったとも言えるウェインライトも、その1人だ。球団公式サイトの記事内でこんなコメントが紹介されている。
「ナ・リーグの試合こそ野球だと思うんだ。自分は両リーグともナ・リーグ方式に変えてほしいな。みんながDH制を導入するよう議論することも分かる。でも、投手が走塁でアキレス腱を切ったって言っても、走塁なんて、年に1、2回あるくらいのことだし。(中略)自分に言わせれば、野球、戦略、試合そのものが、単純にナ・リーグの方がいいものだと思う。ナ・リーグにDH制導入の声も聞こえるけど、そう単純なことでもない。野球は素晴らしいスポーツだ。だから、あまり形を変えないでほしいんだ」