ドラフト戦線に異状あり!? 大学生ドラ1候補の不調で剛腕高校生に脚光?
今年のドラフトで目玉候補と目される2人の大学生左腕だが……
5月を迎え、アマチュア野球もシーズン真っ盛り。プロ入りを目指すドラフト候補生も懸命に汗を流しているが、その中でドラフト戦線を揺るがす異常事態が起きている。明大・上原健太と駒大・今永昇太。今年のドラフト会議で目玉候補と目されているアマ球界屈指のサウスポー2人が、一向に調子が上がらないのだ。
上原は長身190センチから最速151キロの直球を投げ下ろす。大きなスケール感を感じさせ、現在のプロ球界も見渡しても希少な大型左腕として注目を浴びてきた。
2年秋のリーグ戦で頭角を現し、防御率0・88をマーク。広陵高の1年先輩である早大・有原航平(現日本ハム)と最後まで最優秀防御率のタイトルを争った。大器の片鱗に、スカウト陣の間ではすでに「2年後のドラフト1位は間違いなし」と声が挙がるほどだった。
巨人など複数球団から年明けのスカウト会議で1位候補にリストアップされた今年。3月上旬のオープン戦で左手人さし指のマメが潰れて裂傷を負い、投げ込みができず、調整が遅れた。ここから徐々に歯車が狂い始めた。
リーグ開幕戦の東大戦、慶大戦ではエースが担う1回戦ではなく2戦目で登板。ともに無失点で勝利を挙げたが、指先の状態も考慮したようで5回で降板した。法大1回戦は同点の9回から救援したが、失点を許して敗戦投手に。続く2回戦でも先発すると、味方の守備が乱れる不運があったが、要所で踏ん張れず4回6失点。エースの役割を果たせなかった。
ここまで4登板2勝1敗、15イニングで自責2、防御率1・20。数字自体は悪いものではないが、好調時に150キロ前後で投げ込んでいた直球は現在、常時140キロ前後と迫力が戻ってこない。即戦力候補と期待される「ドラフト1位候補」としては、物足りないように映ってしまう。
そして今シーズン、まだ公式戦マウンドに立っていないのが今永である。
今永は2年春から先発を担い、これまでに積み上げたリーグ戦18勝は現役トップ。昨秋はエースとして母校を明治神宮大会で日本一に牽引した。
身長178センチながら、MAX148キロの直球を投げる。派手さはないもののピッチングに安定感があり、勝ち方を知っている「実戦型左腕」。上原と並び、トップランクの評価を受けてきた。
しかし、3月下旬の投球練習中に左肩を痛めた。メディアには「腱板炎症」と明かしており、開幕戦から登板を回避。5月中旬以降のリーグ戦後半での復帰を目指しているが、現在は試合での投球すら見ることができない状況だ。痛めた箇所が投手の生命線である肩だけに、復帰後に本来の投球を取り戻せるのか、スカウト陣をやきもきさせている。