「イチローにやられた」 走者だけでなく、球場全体を幻惑した“トリック”
マーリンズの地元マイアミのメディアも称賛、「彼の仕掛けたおとりに騙された」
マーリンズは10日(日本時間11日)の敵地ジャイアンツ戦で9回に守護神スティーブ・シシェックの乱調で2点を失い、2-3で逆転負けを喫した。しかし、その直前に同点のランナーを一度は完全に足止めしたイチロー外野手の絶妙なトリックプレーが、マーリンズの地元マイアミのメディアでも称賛されている。
レジェンドはAT&Tパーク全体を幻惑した。1-0の9回1死、スサックがライト前ヒットで出塁すると、ジャイアンツの名将ボウチー監督はすかさずピンチランナーにアリアスを送り込んだ。本塁まで還れば同点という場面で、続くブランコはフルカウントからライトオーバーの長打。そこからイチロー劇場が始まる。
地元紙「マイアミ・ヘラルド」は、この場面をこう報じている。
「ブランコはライトに強打を放った。もしも、イチロー・スズキのわき立つプレーがなければ、この時に同点となっていただろう。打球が深く、アウトに出来ないと理解するや、スズキは立ち止まり、まるでキャッチできるかのような様子で見上げたのである。彼の仕掛けたおとりに、ピンチランナーのホアキン・アリアスは騙された。彼は躊躇したのだった」
ブランコのフェンス直撃のタイムリーヒットは、さすがのイチローでも捕球できない。だが、一瞬の演技で一塁走者の本塁突入を食い止めた。その後、乱調のシシェックは逆転を許したが、絶妙なトリックプレーは敗戦の中でも輝きを放った。