【小島啓民の目】巨人・大田泰示に見る「本塁打を打てる打者」の絶対的条件とは?
プロ7年目の大田はなぜブレークし始めているのか
小島啓民です。私はアマチュア選手の日本代表チームの監督として、何度かプロ野球2軍のチームとプロ・アマ交流戦を経験させてもらいました。そこでは今、巨人のスタメン選手として戦っている大田泰示外野手を幾度か拝見いたしました。大田選手、がんばっていますね。4月30日から1軍に復帰し、ほぼ毎試合、ヒットを打っております。いよいよ頭角を現してきたという感じがします。
初めて彼を見た時の印象はまず身体が大きい。次に大柄なのに、動きが俊敏。「素質は素晴らしい」と私も感じました。バッティングについては、「大柄の割には、結構器用な打ち方をするな。ホームラン打者というよりは、中距離打者かな」という印象でした。その当時は、変化球に弱点がありました。
高校からいきなりプロの世界に飛び込んだのですから、キレのある変化球、見たことがないボールの変化に戸惑うことは仕方がないのですが、インコースを見せられて、外にスライダー、または低めのボールになる落ちるボールというお決まりのパターンで打ち取られるというケースを多く見ました。
正直、いい選手なのだけれど、周囲の期待が「松井2世」、「ホームラン打者」なので、期待が高く、自分を見失っているのかなと反対側のベンチから観ていました。ここ数年、少し活躍した時期もありましたが、地位を獲得することができていませんでした。
ただ、今年は何か吹っ切れた顔をしているなと、春先からのキャンプ便りの画面の表情から感じました。昨年の終盤に打撃に関して手応えがあったという話も聞きました。結婚したという人生の転機を迎えたことも影響したのでしょう。プロ7年目。文字通り「腹をくくる」というような境地となっているのではないでしょうか。
では、なぜ少しブレークし始めているのか? 彼を直接指導した経験はないので、多くのアマチュア選手を指導した経験からの見解になることをお許しください。体が大きく、パワーもあるのに打撃に伸び悩む選手にはぜひ参考にしてもらえたらうれしいです。