【緊急連載(上)】東大はなぜ勝てたのか 94連敗を止めた攻撃的野球
失うものがない東大の精神的余裕
そして、4-4で延長に突入した10回。東大が、再び勝負に打って出た。無死一塁から2番・飯田裕太がバスターエンドラン。これが右前打となり、一、二塁とチャンスを広げた。1死二、三塁から、2つの相手野選で2点を勝ち越し、ついに東大は勝利を手にした。
「超」が付くほどの攻撃的野球。その裏には負けても失うものがない、東大の精神的な余裕があった。
東大は今季開幕から8連敗で、すでにリーグワーストとなる35季連続最下位が確定していた。この時点で、カード3戦のうち2勝しなければいけない「勝ち点」はもはや必要ではなく、94連敗を止めるための「1勝」だけにターゲットを絞れたことが大きく作用した。まして今季の最終カード。大胆な攻めに徹することができた。
選手起用にも攻めの姿勢はあった。0―1の5回先頭、投手の山本俊が打席に立った。ここまで1失点と粘投していた右腕を続投させ、終盤に反撃のチャンスを狙う作戦のように思われた。