【緊急連載(中)】東大はなぜ勝てたのか 法大にのしかかった二重の重圧
法大に出たミスと、ターニングポイントとなった9回の采配
さらに4-4で突入した延長10回1死二、三塁。セカンド正面のゴロを二塁手・若林晃弘が弾いた。慌てて本塁に送球したが間に合わず、決勝点を許した。ミスなく送球できれば、刺せていたタイミングだった。続く一ゴロも本塁送球が間に合わず、2者連続野選で勝ち越された。
法大の6失点のうち4点が、暴投と野選という自分たちのミスから生まれた。「自滅」と表現してもいい戦いぶりだった。
そして「硬さ」はグラウンドだけでなく、法大ベンチにも伝染していた。
1-2の7回に法大は3得点し、再逆転に成功。だが、直後の8回に登板した3番手・川名健太郎がいきなり2者連続四死球を与えた。その後、犠飛と三塁打であっさり同点に。嫌なムードが漂うところで流れを変えたのが、ここで登板した2年生右腕・宮本幸治である。
2死三塁から空振り三振に斬り、ピンチを脱出すると、続く9回も3人でピシャリ。富山第一で夏の甲子園8強に導いた右腕は、東大打線がこの日登板した投手で最も手を焼いていた。失点の可能性は低いように見えた。
しかし、9回裏の攻撃。青木久典監督は先頭の宮本に代打を送った。この采配が展開を一変させた。